
子供がいつも勉強しなくて、いつもモヤモヤした気持ちになります。

そういった時は、課題を分離して考えてみると良いよ!

課題の分離ですか?分離して考えると何が良いのですか?

分離することで、子供の課題をムリに背負い込む必要がなくなります。これで親子関係のストレスの多くは負担が軽くなるはずですよ。考え方について、順に説明しますね。
- 課題の分離とは?
- 共同の課題とは?
- 子育てで活用する方法
課題の分離とはマイペースで良いということ?
課題の分離とは、マイペースで良いということではありません。
課題の分離とは、人間関係のトラブルが起きたとき、その課題は自分にあるのか、他人にあるのかを切り分けて考えるというものです。心理学者の三大巨頭の一人「アルフレッド・アドラー氏」のキーとなる概念です。
良くこの概念を「人は人、自分は自分ってことでしょ?」と湾曲して捉える人もいますが、本質的には違います。課題の分離のその先にあるモノを理解して、対人関係のストレスを減らしましょう。
アドラー心理学の具体的な3ステップ
課題の分離は次の3ステップで考えます。あなたが親の立場だとして、「勉強しない子」を例に説明します。
- STEP1課題を分離する勉強しないことは親ではなく子の課題である。困るのは親の私ではない。最終的に決めるのは子なので、親の私ではどうすることもできないことと認識することが重要。
- STEP2共同の課題にする手続きを踏む勉強しないことに関して話し合う時間をもらえないか子に確認する。本来はアナタの課題ですが、私もその課題を解決するために協力しても良いかと確認する段階。
- STEP3協力して課題に取り組む勉強できるようになる方法と親と子が一緒に考える。勉強する目的と必要性を説明し「あなたはどう思いますか?」と対話をし、子が納得できる「勉強する目的」を探します。
この3ステップを、より細かく「かんたん解説」していきます。
STEP1. 課題を分離する
最終的に目指すゴールは「自分と他者の幸福を守ること」です。自分と他者を幸福にするために課題を分離する考えが有効です。
幸福と書いてしまうと、自己啓発的、また宗教的な感じがしてしまいますが、ここでいう「幸福」の概念は、哲学者「三木清氏」の言葉を借りて「幸福は人格である」とします。
他人に左右されるのではなく、自分で考え、感じて、行動することが幸福であるということ。
課題を分離しないことで起きること
「課題を分離しない」ということは、他人の課題に許可なく土足で踏み込むこと。これは他人の自由を奪うことであり、その人の幸福を侵害していることと言えます。
課題を分離することでできること
他人の課題に踏み込まないのではなく、共同の課題見つける準備として、課題を分離します。すると、本来自分が抱える必要がない問題や悩みを発見できることでしょう。
国内累計200万部(世界累計600万部)のヒット作となっている本「嫌われる勇気」は、読者に誤解を与える表現もあり、「他人の課題には一切関与せず、マイペースに生きていけばよい」という解釈で考えを終わらせている人が多いように感じます。
誰の課題なのかを考える
「嫌われる勇気」の著者、岸見一郎氏の作品「叱らない子育て」にも書かれています。
小学生の子が忘れ物をしないようチェックしている親が多いと思いますが、そのチェックを親がしている限り、子供は「忘れ物をしないように気をつけるのは親の課題」と思っています。
親が子供の課題を肩代わりすれば、子供はいつまでも自立することができません。
他者の課題に踏み込むことがトラブルを招く
親子関係、友人関係、仕事関係と、あらゆる対人関係のトラブルは、人の課題に土足で踏み込まれることから始まります。親と子であれば「勉強しなさい」「宿題しなさい」と、つい言ってしまいがちですが、これは、子の課題に土足で踏み込んでいます。
「そうは言っても、うちの子は勉強しなさいと言わないと全然勉強しないし」。このように心配する親も多いはずです。言ったところで、勉強はしないでしょう。
STEP2. 共同の課題にする手続きを踏む
課題を分離したあとは、共同の課題を見つけますが、手続きのやり方は一方通行ではいけません。勉強しない子を例に説明します。
まず子供に対しては「勉強しないことはあなたの課題ですが、親の私もその課題の解決に協力しても良いですか?」ということを確認します。
そして、子供が援助を求めてくれば、親は可能な範囲で援助できます。援助を必要とせず、「自分のことは自分でできるから…」と言わたら、このように返しましょう。「事態はあなたが思っているほど楽観できる状態だとは思わないけど、またいつでも力になるからその時は言ってね」という風に。
介入ではなく「援助」をすること。親子関係は「上下関係」ではなく対等な関係であることを理解しましょう。
STEP3. 協力して課題に取り組む
STEP2で手続きを踏んだ後は、相手の課題に踏み込む許可を得ながら、一緒にできることを考えます。
勉強しない子を例にするなら「どうしてもわからない問題が出た時は聞いてね」と伝えたり、「勉強する目的がわからないと時は教えてね」と、子供が自分で考えて行動できるよう促す声かけ程度の援助が良いです。
注意点:共同の課題にしてよい条件
このステップを踏むには、自分と相手(親子)の関係が良好でなくてはいけません。心理学者で精神科医の野田俊作氏は、共同の課題にして良い条件を次のように述べます。
- 親子の関係が協力的であること
- 共同の課題は「冷静な話し合い」で合意が成立していること
- 最終的な目標と、そこへ至るプロセスが一致していること
- お互いの役割をいつでも話し合えること
まとめ
3人の子供を育てて感じましたが、課題の分離は、子供に「自分で考える力を養わせるためにも効果的」であると思いました。
小学1〜2年生のように小さな子には適さないかとも思いましたが、「冷静に」「真剣に」話し合う時間を設けることで、大人と対等な会話が十分できます。