【民法】退職引き伸ばしは違法!|辞めるためのステップ

しごと

退職日を延期させられたり、引き止められたりした時は、断ることができるのでしょうか?人事担当者として10年の経験をもとに、辞めるためのステップを紹介します。

この記事の内容
  • ケース別の退職意思の伝え方
  • 辞めるためのステップ

退職の引き伸ばしは違法です

労働者には民法で『退職する自由』が認められています。

有期雇用契約の場合

期間の定めがある労働契約である場合、その期間の途中で退職することはできません。これは民法628条に定められています。

この民法では「やむを得ない事由がある時は契約の解除ができる」となっていますが、「やむを得ない事由」とは次のようなことが上げられます。

やむを得ない事由の例
  • 病気や怪我
  • 家族の介護
  • 妊娠や出産
  • 給料の未払い
  • 違法性のある長時間労働
  • 労働環境が劣悪

無期雇用契約の場合

期間の定めの無い労働契約、いわゆる正社員です。民法627条では2週間前に退職の意思を告げることで、労働者は理由を問わず退職ができると定められています。

就業規則には1ヶ月前と書いている場合は?

会社の就業規則に「退職1ヶ月前申告」や「退職2ヶ月前申告」と書かれているケースがあります。これは業務引き継ぎや後任担当者を立てる必要性があるなど、諸事情の判断により設定されている可能性があります。会社のルールは法的拘束力はありませんので、民法が優先されます。

ただ、業務の引き継ぎを行うのは社会人としてのマナーですよ。

退職2週間前に退職届けを出す場合の注意する点

もし事情があって、退職2週間前に届け出を提出する場合は、確実な方法を選びましょう。いくつか注意点を説明します。

口頭ではなく書面で退職届けを提出

退職の意思を伝える方法は、書面でも口頭でも可能です。書面を提出することは義務ではありませんが、口頭だと誤解して受け取られたり、間違って人事担当に伝わってしまうなどのトラブルも発生します。そういったリスクを回避するためにも、書面で退職けを提出しましょう。

退職願ではなく退職届を提出します。「退職願」では雇用主に許可を求める文書です。

2週間は休日をカウントすることができる

2週間のカウントは土日祝をカウントできます。営業日ベースで考える必要はありませんので、一刻も早く退職したい場合は、土日祝を含めて14日後に設定しましょう。

それでもトラブルが起きそうな場合は、確実に退職できる方法を取ることが安心です。

退職理由の嘘がバレたらどうなるか

法律上では、退職理由を言う義務はありません。退職届に書く理由は「一身上の都合」で問題ありません。本音と建前は別物で、退職理由の半分は嘘であると調査から出ています。だから「バレても何も起きないのでご安心を!」と言えます。

私自身、人事を長年経験していますが、仲が良かった同僚くらいしか本当のことを話してくれませんでした。ただ、円満退社で、前職の仲間とも交流を持ち続けたいのであれば、本音を伝えると、相手からしたら嬉しいと思いますよ。

ケース別の退職意思の伝え方

円満退職をするには、相互の考えの落とし所を見つけたいですね。良くある状況をもとに、適切な退職意思の伝え方を紹介します。

退職時期を遅らせて欲しい

業務引き継ぎが完了するまで待って欲しい、今の大事なプロジェクトが落ち着くまで待ってほしい。このように退職時期を遅らせてくるパターンです。

私は、採用面接で内定を出した方が同じ境遇であった場合、なるべく円満退社できるように、初出社日を調整するように対応しています。なぜなら、内定を出した方の企業が「顧客」にもなり得るからです。

そのため、トラブルに発展しないよう数週間程度の延長には応じる姿勢を見せるのが良いです。退職日を変更できないにしても、キチンと引き継ぎをする意思を伝えることも大切です。

伝え方の一例

誠に申し訳ございませんが、次の転職先との兼ね合いもあり、退職日の変更はできません。誠に勝手なお願いで恐縮ですが、引き継ぎを丁寧に済ませますので、ご了承いただけないでしょうか。

辞めると仕事が回らなくなる

「頼れるのはキミだけなんだよ!」「今辞められたら困るんだよ!」このように情に訴えかけてくるケースです。

話を受け入れてしまったら、ズルズルと会社のペースに巻き込まれる恐れがありますので、退職の意思をはっきりと伝えるのが良いです。なぜ退職をするのかを明確に伝え、その意思は揺るぎないものであることを説明しましょう。

伝え方の一例

とても嬉しいお言葉ありがとうございます。私自身も継続して働くことに前向きに検討を重ねましたが、自分のやりたいことが実現できる環境が次の会社にございますので、挑戦したいと考えております。大変心苦しいのですが、ご了承お願いいたします。

昇進や給与UPを提案

昇進、栄転、給与UPなどの処遇改善を餌にして引き留めようとするケースです。給与や待遇面で転職理由でないことをはっきりと伝えるのが良いです。

伝え方の一例

ご提案をいただけて大変ありがたい気持ちですが、私はお給料や現在の地位に不満があるのではございません。自己実現のために挑戦したい仕事があることが退職理由ですので、申し訳ございませんが退職の意思は変わりありません。

退職願いを受け取らない

上司が退職の話に聞く耳を持たないケースもあります。退職の意思を伝える場がないので、上司の更に上位の方に話をするか、人事の担当者に掛け合ってみましょう。

伝え方の一例

突然のご連絡となり申し訳ございません。この度、一身上の都合により退職させていただきたいと考えております。直属の上司にご相談をしようと思っているのですが、話を聞いていただける状況ではございませんでした。お話のお時間をいただけないでしょうか。

損害賠償を請求すると脅す

「何を言っているんだ!」「辞められたら受注がなくなる。損害賠償を請求するぞ!」このように脅しをかけきても効力はありませんのでご安心ください。

民法627条で、労働者はいつでも雇用契約解約の申し入れができると定められています。退職を認めなかったり、退職時に違約金などの金銭を要求したりすることはできません。

状況が悪化するようでしたら、労働基準監督署や弁護士に相談もできますが、時間をかけずにスムーズに退職するには、弁護士が所属する退職代行サービスを利用することをおすすめしたいです。

【まとめ】辞めるためのステップ

最後に辞めるためステップをまとめ形式で紹介します。

  • 退職意思は2週間前で問題ないが円満退社をするには業務引き継ぎを行う
  • 退職届けの退職理由は嘘を付く人が半数いる
  • 退職時期を引き伸ばしてくる場合は、できない理由をはっきりと述べる
  • 最短の2週間で退職したい場合は土日祝を2週間にカウントする
  • 退職できない時は必要な機関に相談する
タイトルとURLをコピーしました